また、やってもた!
所用で「谷町4丁目」付近の事務所を訪ねた。打ち合わせが終って外に出ると、そこはネオン街に変わっていた。来たときは同僚ふたりも一緒だったが、彼らは先に帰り、私だけが残って話し込んでいたのだ。
来るとき、なんだか胸騒ぎがしたことはたしかだ。はじめて訪ねるところだったので、前後左右キョロキョロしながら、ここにお蕎麦屋さんがある、あそこに郵便局がある、税務署がある、と確かめながら歩いたつもりだった。
でも、ビルから夜の街に足を踏み入れたとたん、方向感覚があやしくなってきた。わからないままに、少し歩きだしたが、どうも様子が違う。元のビルの前に引っ返し、どこから来たのか考えたが、とんと見当がつかなかった。
でも、足が勝手に歩きだした。
こうなると、私はどうしようもなくなる。足の進む方向に体がついていくだけだ。理性などまったく働かなくなる。街に紛れ込んだ野生動物のように、ひたすら前に進むのみだ。
しかし、動物だったら、帰巣本能が働くだろう。帰巣本能などもちあわせていない私は、歩道沿いのオフイスビルから吐き出され、帰宅を急ぐサラリーマン・ウーマンに交じって、何事もないかのような顔をしながら、歩き続けた。
どれくらい歩いただろう。長く感じたが10分もかかっていなかったかもしれない。突然、地下鉄の入口が見えた。
地下鉄に乗れば帰れる! 喜び勇んで駅名を見ると「堺筋本町」だった。
わぁ、ショック! まったく逆方向に歩いていたことになる。
年とともに、私の方向音痴は、磨きがかかってくるようだ。
このままいけば、徘徊老人になりそう・・・・・・。
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